ほくろのお悩み

ほくろとは何か?できる原因について

私たちがよく知っているほくろは、医学用語では「色素性母斑」といい、肌の色素をつくりだす「母斑細胞」という細胞が増殖することが原因でできる良性腫瘍です。

ひと口にほくろと言っても、生まれつきあるもの、日焼け(紫外線)などの外部からの刺激が原因でできるもの、平らなもの、盛り上がりのあるものなどさまざまです。

ほくろの種類

Unna母斑

茶褐色〜黒色の直径1cm程度のやわらかいほくろで、体幹にできることが多いです。

Unna母斑

Miescher 母斑

淡色〜肌色に近い直径7mm前後のドーム状に盛り上がったほくろです。

年齢とともに色が薄くなる傾向にあります。顔や頭皮など首から上にできることが多く、表面はつるつるしており、毛が生えていることがあります。

Miescher母斑

Spitz母斑

赤〜黒色の直径5mm前後の、やや盛り上がったほくろで、小児や若い人にできやすいことから「若年性黒色腫」とも呼ばれます。

黒色の場合があること、稀に急激に大きくなることから悪性黒色腫(皮膚がんの一種)との判断がつきづらいことがあります。

Spitz母斑

Clark 母斑

濃淡差のある色調で、直径5mm以上の平ら〜わずかに盛り上がったほくろです。

形はいびつで、境界が不明瞭です。思春期以降にできることが多く、加齢とともに消えることが多いです。悪性腫瘍と判断がつきづらいことがあります。

Clark母斑濃

青色母斑

やや青みがかった10mm以下のほくろで、少し盛り上がっている場合が多いです。顔や手足の甲にできやすく、稀に悪性化(がん化)することがあります。

巨大色素性母斑(獣皮様母斑)


先天性の黒色の母斑で、表面が毛で覆われていることから獣皮様母斑とも呼ばれます。

「巨大」とされるのは、一般的に乳幼児は頭部で9cm以上、体幹で6cm以上、成人であれば部位にかかわらず直径が20cm以上の場合です。


悪性黒色腫の発症リスクが高い(3%程度の)ため、巨大色素性母斑は早期に切除することが望ましいです。

ほくろに似た病変

良性の病変

脂漏性角化症

イボ状に盛り上がったシミで、老人性色素斑から症状が進行して出来てきます。最初は丸みがかった状態から徐々にイボ状に盛り上がってきます。

美白化粧品では効果がなく、レーザー治療が必要となります。

血管腫

主に、顔、首、体などにできる1〜2㎜程度の赤い出物で、正式な名称は「老人性血管腫」と呼ばれます。 まれに4㎜ぐらいまで大きくなるものもあります。 体質的に出やすい人に生じることが多く、体のあちこちに散在して見られる良性腫瘍です。 毛細血管が増殖して皮膚上で露出している状態です。

皮膚繊維種


茶色く盛り上がった良性腫瘍で、大人になってから腕や足にできることが多いです。

虫刺されや傷などからできることが多く、皮膚の浅い部分に硬いしこりが触れる特徴があります。

悪性の怖い病変

悪性黒色腫(メラノーマ)

ほくろによく似た悪性腫瘍(皮膚がんの一種)で、メラノサイト(色素細胞)のがん化によってできると考えられています。

がん化した色素細胞から多量にメラニン(色素)が生み出されるため、黒色の場合が多いです。しかしごく稀に色の淡いものや極めて薄いものもあります。


悪性黒色腫は進行が早く、他の臓器に転移する可能性も極めて高い非常に悪性のがんです。ダーモスコピーや病理検査で判断することができ、早期発見ができれば十分に完治が見込めます。

悪性黒色腫(メラノーマ)
(ダーモスコピーの診かた・考え方より)

基底細胞がん

ほくろによく似た悪性腫瘍(皮膚がんの一種)で、表皮の最下層にある基底細胞や、毛根を包み込む毛包の細胞から発生します。顔にできることが多いですが、身体中どこにでも発生する可能性があります。

発生する原因としては、紫外線や放射線などが考えられます。悪性黒色腫とは異なり、転移することは稀です。通常1〜2mmほどの黒いほくろのような点が出現し徐々に数が増え、円形もしくは楕円形を形成します。進行していくにつれ中央部がへこみ潰瘍になります。こちらもダーモスコピーや病理検査で診察することができます。

基底細胞がん
(日本皮膚悪性腫瘍学会)