医療ダイエット(GLP-1)で「痩せない」のはなぜ?考えられる8つの原因と対策を解説!

※本記事で解説するGLP-1受容体作動薬の痩身目的での使用は、国内で承認されていない適応外使用(自由診療)です。
※本治療は、医師の判断の下で行われる医療行為であり、本記事は治療を推奨するものではありません。
※適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。重篤な副作用が生じた場合でも、公的な補償は受けられません。
※治療の可否や使用に関する一切の判断は、必ず専門の医師と相談の上、その責任において行ってください。
医療ダイエットを試しているのに一向に痩せる気配がない…
GLP-1での医療ダイエットが自分に向いているのかわからない…
せっかく費用をかけてGLP-1ダイエットを始めたのに、期待した効果が得られないと不安になりますよね。
GLP-1受容体作動薬を用いた治療は、実は、使い方や生活習慣によっては「痩せない」と感じてしまうケースも少なくありません。
本記事では、GLP-1ダイエットで痩せないと感じる原因と、効果を引き出すための具体的な対処法を徹底解説します。
もくじ
医療ダイエット(GLP-1)は痩せない?考えられる8つの原因

GLP-1ダイエットは正しく活用すれば多くのケースで減量効果が見込めますが、なかには「全然痩せない」と感じる人もいます。
ここでは、GLP-1ダイエットで痩せない主な理由を確認してみましょう。
GLP-1を摂取すればすぐに痩せると思っている
最近、GLP-1が若い人の間で流行っているので、「薬を摂取するだけですぐ体重が減る」と安易に考えてしまうケースがあります。
GLP-1は食事の摂取量が自然に減るようサポートする医薬品であり、劇的な食欲減退剤や脂肪除去薬ではありません。
日々の摂取カロリーが投与前と変わらなければ、いくらGLP-1を使っても明確な体重減少効果にはつながりにくくなります。
GLP-1への期待値の調整とともに、生活習慣の徹底した管理を心がけることが、医療ダイエット成功への近道となります。
食事を摂り過ぎている
GLP-1薬の助けで食欲は抑えられても、結果的に食べ過ぎていては痩せません。
薬に頼って、好きなだけ食べても太らないと誤解してしまうと、摂取カロリーが高いままになり体重は減りません。
特に甘いものや脂っこいものばかりを習慣的に摂っている場合、少量でも高カロリーの食事になりがちで、GLP-1を使っていても効果が出にくくなります。
GLP-1ダイエットは食事量を減らす補助にはなりますが、魔法のように何を食べても太らなくなる方法ではありません。
睡眠不足が続いている
慢性的な睡眠不足もGLP-1ダイエットの妨げになります。
睡眠が足りない状態が続くと、体内で食欲を増進させるホルモンが多く分泌され、逆に食欲を抑えるホルモンは減少すると言われています。
その結果、十分に寝ている人に比べて空腹感を感じやすくなり、つい食べ過ぎてしまう傾向が生まれます。
しっかりと質の良い睡眠を取ることは、痩せやすい体作りの基本です。
服用期間中に全く運動をしなかった
薬の作用で食事制限ができても、まったく体を動かさない場合は減量スピードが緩やかになります。
GLP-1で摂取カロリーを抑えても、消費カロリーを増やす努力をしなければ体重は大きく変わりにくいです。
軽いウォーキングやストレッチなどの有酸素運動でも、継続すれば脂肪燃焼を促し代謝アップに役立ちます。
運動不足のままだと筋肉量が減って基礎代謝が落ちる恐れもあり、効率よく痩せるには適度な運動も併用することが大切です。
薬の飲み忘れ・打ち忘れが多い
GLP-1ダイエットの効果を得るには、薬を決められたペースで継続的に使うことが重要です。
毎日服用する内服薬や週1回の自己注射をうっかり何度も忘れてしまうと、薬の血中濃度が安定せず十分な食欲抑制効果が得られません。
薬の飲み忘れが頻繁にある方は、結果として思ったほど摂取カロリーを減らせず、ダイエットの成果が出にくくなってしまいます。
GLP-1薬は服用や注射のタイミングが決まっているため、忘れないよう工夫しながら計画的に継続することが大切です。
服用方法が適切ではない
GLP-1薬自体はきちんと使っているつもりでも、誤った服用方法によって効果を十分に引き出せていないケースもあります。
リベルサス(一般名:セマグルチド)などの内服薬は、空腹時に水で服用し、服用後30分間は飲食を避けるという決まりがあります。
このルールを守らず食後や満腹時に飲んでしまうと有効成分の吸収率が落ちてしまい、効果が半減してしまいます。
また自己注射型の場合も、決められた増量スケジュールを守らなかったり、注射の打ち方が不適切だったりすると「効かない」と感じる原因になりかねません。
すぐに服用を辞めてしまった
GLP-1を用いた医療ダイエットで痩せない理由のひとつが、十分な期間継続せずにすぐに服用を辞めてしまった点にあります。
薬剤による体重減少は、一定期間以上の継続的な投与で徐々に現れるため、途中で自己判断による中断をしてしまうと、食欲抑制や代謝改善といった本来の作用が十分発揮されません。
中でも、吐き気や胃部不快感などの副作用が気になって服用をやめてしまう場合が一番多いです。
初期の副作用は、一定期間経つと自然におさまってくるので、重症の場合以外は自己判断で服用をやめるのではなく、医師に相談してください。
医療ダイエット(GLP-1)が合っていない
GLP-1は食欲を抑えることで効果を発揮しますが、そもそも食欲過多が太る原因ではない場合、効果は限定的です。
例えば、もともと少食な人が使用しても、食事量がそれ以上減らないため、思ったような効果は得られない可能性が高いでしょう。
また、GLP-1によるダイエットは全身の体重減少をサポートするものであり、部分痩せには向きません。
ダイエットの目的が「顔だけ痩せたい」「お腹だけ引き締めたい」など、特定の部位を痩せたい場合は、他の治療法を検討するべきです。
医療ダイエット(GLP-1)が向いてる人の特徴

GLP-1ダイエットは誰にでも万能というわけではありませんが、向いている人がいるのも事実です。
ここでは、医療ダイエット(GLP-1)が向いてる人の特徴を紹介していきます。
食欲のコントロールが難しく、つい食べ過ぎてしまう人
普段から運動習慣がなかったり、食事制限によるダイエットに挫折した経験があったりする人にとって、GLP-1ダイエットは一つの選択肢となり得ます。
薬の力で食欲が抑えられるため、カロリー制限の辛さをあまり感じずに済みます。
まずは食事のコントロールから始められるため、意思が弱くて食べ過ぎてしまう方や、忙しくてジムに通う時間が取れない方でも取り組みやすいでしょう。
過去に何度もリバウンドの経験がある人

一生懸命ダイエットして痩せても、リバウンドで元に戻ってしまった経験がある方にGLP-1ダイエットは向いています。
医師の管理下で計画的に体重管理を行うため、自己流のダイエットと比較してリバウンドのリスク管理をしやすい側面があります。
薬の使用中に身につけた食習慣を継続すれば、ダイエット終了後も体重維持がしやすくなるでしょう。
何度も体重の増減を繰り返している人が、ダイエットをきっかけに生活習慣全体を見直すことで、長期的な体重維持を目指せる可能性もあります。
仕事や育児で忙しくてダイエットができない人
日々忙しく過ごしていると、食事管理や運動の時間を十分に確保するのが難しいものです。
その点、医療ダイエット(GLP-1)は、毎日の服用や定期的な注射は必要ですが、自分で厳密なカロリー計算をしたり長時間の運動をしたりする必要はありません。
ダイエットに割ける時間がないという方でも、GLP-1の力を借りれば日常生活の範囲で無理なく摂取カロリーを減らすことができます。
仕事や育児と両立しながら無理なく痩せたい人には、医療ダイエット(GLP-1)は心強い選択肢となるでしょう。
さまざまな自己流ダイエットにチャレンジしてきた人
これまで、さまざまな自己流ダイエットをしてきた人の中には「以前はこの方法で体重を落とせたのに」と感じている人がいるかもしれません。
特に、年齢やダイエット方法によっては、身体のメカニズムによって「なかなか体重が落ちなくなった」という場合もあるでしょう。
医療ダイエットは、そうした自己流の頑張りだけでは超えられない壁に対して、医学的な観点からアプローチする選択肢です。
医師の管理のもと、食欲に働きかける薬なども活用しながら、より計画的に体重管理をサポートします。
医療ダイエット(GLP-1)が向いていない人の特徴

反対に、GLP-1ダイエットが向いていない人もいます。
以下のような特徴に当てはまる方は、別の医療ダイエットも検討してみてください。
薬の副作用が気になる人
GLP-1薬は医療用の薬品である以上、多少なりとも副作用のリスクがあります。
| 副作用 | 主な症状 | 対処法 |
|---|---|---|
| 胃腸症状 | ・吐き気 ・嘔吐 ・胃もたれ ・下痢 ・便秘など |
医師に相談 (多くは一時的) |
| 低血糖 | ・冷や汗 ・ふらつき・手の震えなど |
飴やブドウ糖で糖分を補給後、医師に報告 |
| 急性膵炎 | 持続する激しい腹痛や嘔吐 | 直ちに使用を中止し、医療機関を受診 |
| 胆嚢炎・胆管炎 | ・右上腹部の痛み ・発熱 ・黄疸 |
|
| 腸閉塞(イレウス) | ・著しい便秘 ・腹部膨満感 ・持続する腹痛 ・嘔吐 |
代表的な副作用として、服用初期に見られる吐き気・胃もたれ、下痢または便秘、倦怠感などが挙げられます。
多くの場合これらの症状は一時的で軽快しますが、体質によってはつらく感じることもあるでしょう。
さらに稀ですが「腸閉塞(イレウス)」、「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」といった、生命に関わる可能性のある重大な副作用リスクも含まれています。
薬そのものに抵抗がある方や、副作用の可能性を考えると不安で続けられないという方には、GLP-1ダイエットは向かないかもしれません。
既往症のある人
過去または現在に何らかの持病がある方も、GLP-1ダイエットが適さない場合があります。
特に消化器系の疾患や膵臓の病気の経験がある人、甲状腺の腫瘍歴がある人などはGLP-1受容体作動薬の使用に制限があります。
さらに、「1型糖尿病を患っている人」「糖尿病性ケトアシドーシスを患っている人」「重症感染症、手術等の緊急状態にある人」も使用禁忌です。
また妊娠中・授乳中の方も安全性の観点から治療を受けられません。
その他にも服用中の薬との相互作用によって使用が難しいケースもあります。
持病がある人は医師に相談した上で、自分にとって安全なダイエット方法を選ぶことが大切です。
できる限り費用を抑えてダイエットしたい人

GLP-1ダイエットは、糖尿病での処方ではない場合、保険適用外の自由診療となります。
そのため、クリニックや使用する薬の種類によって差はありますが、おおよその費用相場は月あたり数万円程度とされています。
特に自己注射タイプの薬剤は高額になりがちで、長期間続けると経済的な負担が無視できません。
「できるだけお金をかけずに痩せたい」という考えの方にとって、毎月まとまった費用がかかるGLP-1ダイエットは不向きと言えます。
費用対効果の面も含め、自分に合った方法かどうか検討することが大切です。
短期間で目標体重を達成したい人
期間については、目標体重や減量幅によって異なります。
GLP-1ダイエットは、食欲をコントロールしながら徐々に体重を減らしていく方法であり、即効性はありません。
早い人では2〜3ヶ月で効果を実感し始めますが、無理のないペースで減量するなら半年〜1年程度は見ておくべきでしょう。
「来月までに5キロ痩せたい」といった短期集中型の目標には向いていません。
短期間で劇的に痩せるよりも、時間をかけて着実に減らす方がリバウンドのリスクも低くなります。
【後悔しないために!】医療ダイエット(GLP-1)の効果を引き出す方法

医療ダイエットは、医師の指導のもとで計画的に進めることが不可欠です。
定期的に診察を受け、医師と相談しながら、ご自身に合った治療計画を継続していきましょう。
ここでは、医療ダイエットで後悔しないために覚えておきたい効果を高める方法を解説します。
医師の指導やプロのアドバイスを参考にする

医療ダイエット(GLP-1)で成果を上げるには、担当医師の指示をきちんと守ることが大切です。
薬の種類によって服用方法や増減量のペースは異なるため、処方時に受けた説明をよく理解して実践してください。
内服薬は決まった時間に飲む、注射薬は指定された頻度と容量を守る、といった基本的ルールを徹底しましょう。
また定期的にクリニックで経過を報告し、必要に応じて医師に相談することも大切です。
万一副作用が現れた場合も自己判断で中断せず、医師の判断を仰ぎながら安全に続けていきます。
日常的に有酸素運動をする

無理のない範囲で構わないので、日常生活に有酸素運動を取り入れてみましょう。
ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を継続すると、エネルギー消費量が増えて脂肪が燃焼しやすくなります。
また運動習慣は基礎代謝の維持にも役立ち、GLP-1による食欲抑制と相まってダイエット効果を高めることができます。
激しい運動である必要はなく、息が上がらない程度の軽めの運動を毎日の習慣にすると良いでしょう。
適度に体を動かすことでストレス解消や睡眠の質向上にもつながり、総合的に痩せやすいコンディションを作れます。
栄養バランスの良い食事を心がける

GLP-1の効果で食事量が減っても、栄養の偏った食事では健康的に痩せることはできません。
高糖質・高脂質の食品ばかりを少量食べていては、摂取カロリーは減らせても栄養不足になる恐れがあります。
野菜や海藻類、きのこ類などで食物繊維やビタミンをしっかり摂り、肉や魚、大豆製品などからタンパク質も摂取しましょう。
栄養バランスの良い食事は少ない量でも満足感が得られ、基礎代謝を落とさずに脂肪を減らす助けになります。
医療ダイエット(GLP-1)で痩せない理由に関するよくある質問

医療ダイエット(GLP-1)の効果や痩せないケースについて、よく寄せられる質問とその答えをまとめます。
正しい知識を身につけて、安心して治療を続ける参考にしてください。
GLP-1は保険適用されますか?
GLP-1は保険適用されません。
肥満症治療としてのGLP-1薬の使用は、公的医療保険の適用外のため自費診療となります。
GLP-1受容体作動薬は元々2型糖尿病治療薬であり、ダイエット目的で処方する場合は保険が利きません。
事前に、治療を受けるクリニックで費用や適用条件を確認しておきましょう。
GLP-1で痩せてもリバウンドすることはありますか?

GLP-1ダイエットは、医師や専門家の指導を守って行う方法ですが、絶対にリバウンドしないわけではありません。
薬の効果で抑えられていた食欲は、使用をやめれば徐々に元に戻ります。
そのため、治療終了後に以前の食生活に逆戻りすれば体重が増えてしまう可能性は高いです。
リバウンドを防ぐには、GLP-1使用中に身につけた「少ない食事量で満足できる習慣」を維持することが重要です。
医師と相談しながら徐々に薬を減らしつつ、バランスの良い食事や適度な運動を続けていけば、リバウンドのリスクを最小限に抑えることができます。
医療ダイエットで痩せない場合、返金はしてもらえますか?
自由診療の医療ダイエットでは、返金保証制度を完備しているクリニックも存在します。
ただし、条件が設定されていることがほとんどです。
例えば「〇日以内に体重が〇%減少しなかった場合」「モニターとして契約した場合」などが挙げられるでしょう。
クリニックによって返金保証制度の条件は異なる場合もあるため、気になる人はチェックしてみましょう。
医療ダイエットを辞めたら痩せなくなりますか?
GLP-1受容体作動薬などの治療は、あくまで薬の作用で食欲をコントロールしている状態です。
使用を中止すれば、食欲は徐々に元に戻ります。
加えて、GLP-1治療による体重減少は脂肪だけでなく筋肉量も減少させることが指摘されています。※1
筋肉が減ると基礎代謝が低下するため、治療前と同じ量の食事を摂っていても、以前より格段に太りやすくなってしまうのです。
治療は、あくまで正しい食習慣や運動習慣を身につけるための「サポート期間」と捉えることが、長期的に見て最も重要です。
【まとめ】GLP-1で痩せないと感じたら、まずは原因の特定と医師への相談を
本記事では、医療ダイエット(GLP-1)で痩せないときに考えられる8つの原因と対処法について解説しました。
GLP-1ダイエットは、正しく活用すれば多くの人に減量効果をもたらす有用な方法です。
もし「痩せない」と感じているなら、その背景には食事や生活習慣の見直し不足、服用方法の誤り、あるいは薬剤が合っていないなど、何らかの原因が隠れています。
本記事で解説した対処法を試しても効果が改善しない場合は、自己判断で諦めたり、無理な増量を試みたりせず、必ず担当の医師に相談してください。
専門家と共に原因を特定し、薬の増量や種類の変更など、治療方針を見直すことが成功への近道です。
大切なのは、信頼できる医師の指導のもとで薬を適切に使い、同時に規則正しい生活習慣を心がけることです。
※1 グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体ベースのアゴニストによる体組成変化の修正効果を特徴づけるためのメタアナリシスに関する論文